A  一般的に言えば,ほとんどの場合において,遺言者が,ご自分のおかれた家族関係や状況をよく頭に入れて,それにふさわしい形で財産を承継させるように遺言をしておくことが,遺産争いを予防するため,また後に残された者が困らないために,必要なことであると言ってよいと思いますが,下記1ないし7のような場合には,遺言をしておく必要性がとりわけ強く認められる,といえます。

 1  夫婦の間に子供がいない場合

 2  再婚をし,先妻の子と後妻がいる場合

 3  長男の嫁に財産を分けてやりたいとき

 4  内縁の妻の場合

 5  個人で事業を経営したり,農業をしている場合

 6  上記の各場合のほか,各相続人毎に承継させたい財産を指定したいときとか(例えば,不動産は,お金や預貯金と違い,事実上皆で分けることが困難な場合が多いでしょうから,これを誰に相続させるか決めておかれるとよいでしょう。),あるいは,身体障害のある子に多くあげたいとか,遺言者が特に世話になっている親孝行の子に多く相続させたいとか,可愛いくてたまらない孫に遺贈したいとかのように,遺言者のそれぞれの家族関係の状況に応じて,具体的妥当性のある形で財産承継をさせたい場合には,遺言をしておく必要があります。

 7  相続人が全くいない場合

 相続人がいない場合には,特別な事情がない限り,遺産は国庫に帰属します。したがって,このような場合に,特別世話になった人に遺贈したいとか,お寺や教会,社会福祉関係の団体,自然保護団体,あるいは,ご自分が有意義と感じる各種の研究機関等に寄付したいなどと思われる場合には,その旨の遺言をしておく必要があります。