国税庁は11月1日、相続税や贈与税の算定基準となる平成23年分の路線価(今年1月1日時点)に、東日本大震災による被災地の地価変動を加味した「調整率」を公表した。宮城県女川町の一部で0.2と路線価が8割引き下げられたほか、津波被害を受けた太平洋沿岸地域は軒並み7割超の減少。福島第一原発周辺の12市町村で、警戒区域や計画的非難区域などに指定された地域は相続税・贈与税の申告にあたり「ゼロと申告して構わない」とした。

下落幅が大きいと税負担が軽くなる一方、地価相場や不動産取引に影響する可能性がある。

路線価に調整率が適用されるのは阪神大震災に続いて2回目。青森、岩手、宮城、福島、茨城、栃木、千葉の7県全域と、埼玉、新潟、長野の一部約6万5千平方キロ(全国の17.1%)が対象。6月から約2ヶ月、900地点で行われた調査をもとに設定された。

調整率が最も低かったのは宮城県女川町の一部宅地で0.2。同県東松山市、南三陸町、山元町が0.25、仙台市若林区や岩手県大槌町、福島県いわき市など3県23市町村の一部が0.3となった。

液状化の被害を受けた千葉県浦安市は「ブランドイメージの低下」などを理由に一部地域で0.6と4割減少した。

一方、福島第一原発周辺で警戒区域、計画的避難区域、緊急時避難準備区域に指定された大熊町、双葉町など福島県内の12市町村の一部については「調整率を定めるのが困難」として実質的なゼロ評価とした。「原発事故による放射線量を考慮するのは先例がなく、あくまで相続、贈与税申告の目安として最大限低くした」と説明しており、地価と直接結びつくものではないとしている。